【書評】『経営メモ 16年の起業家人生で得た知見』

「経営者の仕事は、現場が頑張れば頑張るほど利益が出る構造をつくることだ」

本書は、マーケティング関連の会社を起業をして16年間、外部資本を一切いれずに3社を創業。15期連続で増収増益を達成し、社員数は130名、営業利益は過去最高の12億円超となり、今なお成長を続けている会社を経営していた著者が明かす、リアルな経営の知見が学べる一冊です。

本日紹介するのは、起業家、経営者、投資家。1980年生まれ、アナグラム株式会社創業者であり、同社を15期連続の黒字、増収増益へ導いてきた阿部圭司氏が書かれた書籍です。これまでに3社を創業、いずれも株式譲渡を経験。現在は同社会長を務める傍ら、エンジェル投資や社外取締役を勤められています。

デジタルマーケティングを生業にされている方でしたら、一度は聞いたことがある会社だと思います。私もデジマ関連で調べることがあると、同社のブログ記事を読まさせていただくことが多かったです。

阿部 圭司(著)「経営メモ 16年の起業家人生で得た知見」 WORDS/フォレスト出版

本書は、著者が経営者として16年間、自社の経営で感じたことを日々箇条書きでメモをされ、それを加筆修正し、文書化してまとめたものです。数多くのクライアント、支援先など数多くの企業とも関わる中で、経営者の悩みは、業種や規模が違っても、驚くほど似ているものだと気づかれたそうです。

本書の内容は、著者自身が泥臭く現場で転び、迷い、失敗し、その度に拾い集めた知見であり、まさに中小企業や小規模事業者が日々感じている悩みや課題に対する一助になるものと思います。

本書は以下の6部構成から成っています。

1.お金に関するメモ

2.マネジメントに関するメモ

3.マーケティングに関するメモ

4.採用に関するメモ

5.経営に関するメモ

6.М&Aに関するメモ

本書の最大の特徴は、経営学のような理論的な話ではなく、著者自身が実際に経験し、成功も時には失敗もしながら得た知見が、マネジメントやマーケティングなどの分野で分類されています。更にその分野でテーマ毎に書かれているので、読者が現時点で感じている悩みや課題の解決に役立ちそうなテーマから拾い読みすることができることです。

本の最初から読もうせず、興味ある部分から読んでいけるんですね。

例えば、

「やる気」というのは、やる気のない人によって創作された虚構

人間は、「やる気が出たから動く」のではなく、動いた結果として後からやる気や集中が生まれる。

成果を出す人間は「とりあえず手を動かす」ことができる。

これって、脳科学や心理学で証明されている事実です。

「やる気」という不確かなもので管理するのではなく、まずは行動する習慣をつけるのは日常生活でも重要です。

まず動く。その行動が、次の判断を呼び、次の集中を呼ぶ。このことを意識していきましょう。

また、人を育てるうえで重要なのでは、よく小さな成功体験を積ませることだと言われますが、それよりも失敗を許容できる環境作りが重要と説かれています。

人を成長させるのは、「なぜ失敗したのか」を自分で理解し、その原因を次に活かせるようになることだと。確かに成功は偶然性によるものもありますが、失敗は必然性によるものと考えたら、そこから学べることの方が多いかもしれません。

他にも、

・コミュニケーション=「頻度×深さ」

 マーケティングとは、企業と消費者の関係性をつくるためのコミュニケーションであり、情報の頻度と深さを掛け合わせ、その総量を積み上げていくことである。

・ビジネスで最も大切なのは、継続性

 目の前の短期的な利益を過大評価しがちだが、長期的な価値を積み上げる選択を続けられることが重要。

・勝つ戦いよりも、負けない戦い

 経営とは、常に大きな成功を狙い続けることではなく、致命傷を避けながら、前進を止めずに、信頼と小さな成果を積み続ける。小さく負け、長く生き残る。勝ち続けるのではなく、負けにくくすることで、結果的に大きな価値を引き寄せる。

などと、珠玉の言葉が溢れています。

日々悩んている経営者の方々にぜひ読んでいただきたい一冊です。

『経営メモ 16年の起業家人生で得た知見』
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