資金繰り表・日繰り表
作成・運用手順書

作成日:2026年5月23日 | はじめて資金繰り表を作る事業者の方向け
対象ファイル:資金繰り表サンプル.xlsx / 日繰り表サンプル.xlsx
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📊 資金繰り表サンプル.xlsx月次管理用テンプレート 📋 日繰り表サンプル.xlsx日次入出金管理用テンプレート
資金繰り表とは何か?
💡 一言で言うと
「いつ・いくら入ってきて・いくら出ていくか」を先読みする表です。
売上が好調でも、手元の現金が不足すれば会社は倒産します。
資金繰り表は「現金不足の発生」を事前に察知するための道具です。
収入(お金が入ってくる)
  • 売掛金の回収(売上の入金)
  • 受取手形の回収
  • その他の収入
支出(お金が出ていく)
  • 仕入代金・材料費
  • 家賃・リース料・人件費
  • 水道光熱費・通信費
  • 借入金返済
ファイル構成の概要
ファイル名シート構成用途更新頻度
資金繰り表サンプル.xlsx Sheet1(1シート) 月次の資金繰りを年間12ヶ月で管理。収入・支出・財務収支を月別集計。 月1回
日繰り表サンプル.xlsx 月別シート×12(1〜12月) 日次の入出金を日付・科目・相手先別に記録。ピボットテーブルで科目別集計。 都度(毎日〜週次)
🔗 2つのファイルの関係
日繰り表(日次の記録)→ 月末に集計 → 資金繰り表(月次)に転記
日繰り表が「帳票」、資金繰り表が「サマリー(要約)」のイメージです。
🚀 最初にやること:1年間の予測を先に作る
⭐ 初めて作る方へ 最重要ポイント
まず「予測(計画)」を1年分一気に入力します。
完璧でなくて構いません。おおよその見込みで埋めることが第一歩です。
実績が確定したら毎月修正していく、これが資金繰り管理の基本の流れです。
■ 1年間予測の作成 → 毎月修正のイメージ
4月
実績入力
5月
今月
6月
予測
7月
予測
8月
予測
9月
予測
10月
予測
11月
予測
12月
予測
1月
予測
2月
予測
3月
予測
実績確定済み 今月(予測→実績に更新中) 今後(予測)
⓪ 最初の1回(今すぐ):1年間の予測を入力する
固定費(家賃・人件費・リースなど)は毎月同額をコピーして12ヶ月分入力する。
売上・仕入は去年の実績や受注見込みをもとに月別に入力する。
「わからない月はとりあえず平均値で埋めてOK」。空白より数字がある方が良い。
① 毎月初:前月の実績に更新する
前月の入出金が確定したら、予測値を実績値に書き換える。
予測と実績の差(乖離)を確認し、残りの月の予測を修正する。
② 毎月:今後の予測を見直す
受注の増減・大きな出費の予定・借入予定などが変わったら、その月以降の数値を修正する。
残高(翌月繰越)がマイナスになる月を早期に発見することが最大の目的。
③ 四半期ごと:計画と実績の乖離を分析する
「なぜ予測と実績がずれたか」を振り返り、次の予測精度を上げていく。
精度が上がるほど「資金不足の予兆」をより早く掴めるようになる。
⚠ よくある失敗:完璧な数字が出るまで作業を止めてしまうケース。
資金繰り表は「修正し続けること」が前提のツールです。まず埋めることを最優先にしてください。
資金繰り表(月次)の構造
区分内容具体的な科目例
売上高(税込み)当月の売上見込み(消費税を含める)営業見込み・受注確定額など
(参考)前年同月の売上高前年度の同月実績(予測精度の検証用)昨年4月の実績、昨年5月の実績など
前月繰越先月末の手元現金残高銀行預金残高+手元現金
収入の部当月に入ってくるお金売掛金回収・受取手形・補助金・借入金など
支出の部当月に出ていくお金仕入・材料費・人件費・家賃・リース・借入返済など
出入差引収入 − 支出プラス:余裕 マイナス:資金不足の兆候
財務収支借入・返済・設備投資新規借入・借入返済・固定資産取得など
翌月繰越当月末の手元現金残高翌月の「前月繰越」になる
作成STEP:1年間の予測を先に完成させる
1
ファイルを複製して年度ファイルを準備する
  • 「資金繰り表サンプル.xlsx」をコピーする(サンプルは上書きしない)
  • ファイル名を「2026年度_資金繰り表_〇〇㈱.xlsx」などに変更する
2
年度・月を設定する
  • 2行目の月ヘッダー(「20XX年1月」〜「12月」)を実際の年度に書き換える
  • 例:2026年4月〜2027年3月の場合 → 「2026年4月」から順に入力
3
売上高・前年参考値を入力する(初回のみ)
  • 4行目「売上高(税込み)」:当月の売上見込み(消費税を含めた金額)を入力
  • 5行目「前年同月の売上高」:前年度同月の実績を入力(予測精度を月ごとに検証するため)
  • 両行とも毎月手動で入力・修正する
4
前月繰越(期首残高)を入力する
  • 最初の月(F6セル相当)に現在の銀行残高+手元現金を入力する
  • 以降の月は数式で自動連動する(確認すること)
5
固定費を12ヶ月分コピーで入力する(優先・簡単)
  • 家賃・リース料・人件費・借入返済など毎月ほぼ同額のものは1ヶ月入力して横にコピー貼り付け
  • まず固定費を埋めることで、最低限の支出額が見えてくる
💡 Excelのコピー方法:金額を入力したセルを選択 → Ctrl+C → 翌月〜12ヶ月分のセルを選択 → Ctrl+V
6
売上回収・仕入を月別に入力する(大まかな見込みでOK)
  • 過去の実績を参考に月別の入金額・支払額を入力する
  • 受注が確定している月は具体的な金額、不確定な月は平均値で構わない
  • 売掛金は「売上月の翌月・翌々月に入金」など自社の入金サイクルに合わせる
7
「翌月繰越(残高)」がマイナスになる月を確認する
  • 残高がマイナスになる月=資金ショートの危険がある月
  • マイナスが見つかったら:支払時期の調整・融資の検討・売上前倒しなどを検討する
⚠ 残高がマイナスになっても慌てないこと。予測表を作ったから気づけたのです。早期発見が目的です。
8
毎月初:前月を実績に更新し、今後の予測を見直す
  • 先月の予測値を実際の入出金額(通帳・帳簿で確認)に書き換える
  • 実績を踏まえて今後の予測数値を修正する
  • これを繰り返すことで精度が上がっていく
印刷・提出時の設定
  • 印刷範囲:A〜R列(合計列まで)を選択して「印刷範囲の設定」
  • 印刷向き:横(A3またはA4横)を推奨
  • ゼロ非表示:Excelオプション → 詳細設定 → 「ゼロ値のセルにゼロを表示する」のチェックを外す
日繰り表の構造
項目名入力内容
B列日付取引が発生した日付(例:2026/5/1)
C列科目取引の種類(売掛金回収・仕入支払・給与・家賃・借入返済 など)
D列出金先/入金元相手先の会社名・個人名
E列収入入ってきた金額(出金の場合は空欄)
F列支出出ていった金額(入金の場合は空欄)
G列残高数式で自動計算(前行残高 + 収入 − 支出)
H列摘要備考・メモ(任意)
入力STEP
1
ファイルをコピーして年度ファイルを準備する
「日繰り表サンプル.xlsx」を複製して「2026年度_日繰り表_〇〇㈱.xlsx」に改名する。サンプルは残しておく。
2
当月シートを開き、前月繰越残高を入力する
  • 当月のシート(例:「20XX年5月」)を開く
  • 3行目「前月繰越」の残高列(G列相当)に当月初の現金残高を入力する
  • 1月は期首残高、2月以降は前月最終行の残高を転記する
3
取引を日付順に入力する(毎日〜週次)
  • 通帳・領収書・請求書をもとに1取引1行で入力する
  • 同じ日に複数取引がある場合は行を分けて入力する
  • 残高(G列)は数式が入っているため自動計算される
⚠ 新しい行を挿入する際は、G列(残高)の数式を上の行からコピーして貼り付けること。直接入力すると自動計算が壊れます。
4
通帳と残高を突合する(週次または月末)
  • G列最終行の残高と実際の銀行通帳残高を比較する
  • 差異がある場合:入力漏れ・誤入力・未記帳の引落(公共料金・クレジット等)を確認する
5
月末の締め処理
  • 月末最終行の残高 = 翌月シートの「前月繰越」に転記する
  • 資金繰り表(月次)の当月実績欄に収入合計・支出合計を記入する
  • ピボットテーブルを更新して科目別集計を確認する(詳細は「ピボットテーブル」タブ参照)
ピボットテーブルとは
📊 ピボットテーブルの役割
日繰り表に入力した大量の取引データを「科目別」「相手先別」「月別」などで自動集計する機能です。
例えば「今月の仕入代金の合計はいくらか」「どの支払先への出金が最も多いか」がワンクリックでわかります。
⚠ データを追加・修正してもピボットテーブルは自動で更新されません。入力後は必ず手動で更新してください。
基本操作:ピボットテーブルの更新方法
  1. ピボットテーブル内の任意のセルをクリックする
  2. 上部リボンの「ピボットテーブル分析」タブをクリックする
  3. 「更新」ボタンをクリックする
⌨ ショートカット:Alt + F5(選択中のピボットのみ更新)
                 Ctrl + Alt + F5(ブック内の全ピボットを更新)

日繰り表の行が増えた際に、新しい行がピボットの集計対象外になっている場合に行います。

  1. ピボットテーブル内の任意のセルをクリックする
  2. 「ピボットテーブル分析」タブ → 「データ ソースの変更」をクリックする
  3. 「ピボットテーブルのデータ ソースの変更」ダイアログが開く
  4. 「テーブル/範囲」欄の範囲(例:$B$2:$H$100)を確認する
  5. 末尾の行番号を追加した行まで変更する(例:$B$2:$H$200
  6. 「OK」をクリックして反映する
💡 テーブル機能を使うと自動拡張できます(推奨)
入力データをExcelの「テーブル(Ctrl+T)」に変換しておくと、行追加時にデータ範囲が自動で広がるため、この操作が不要になります。
  1. ピボットテーブルの行ラベルまたは列ラベルの「▼」ボタンをクリックする
  2. 表示されたリストから絞り込みたい科目・月を選択してチェックを入れる
  3. 「OK」をクリックすると絞り込まれた集計表が表示される
  4. 解除する場合:同じ「▼」から「(すべて選択)」にチェックを入れてOK
  1. ピボットテーブル内のセルをクリックすると右側に「ピボットテーブルのフィールド」パネルが表示される
  2. 上部のフィールドリストから集計したい項目をドラッグして下部エリアに配置する
配置エリア役割設定例
行エリア縦に並ぶ分類軸科目・相手先
列エリア横に並ぶ分類軸月・週
値エリア集計する数値収入合計・支出合計
フィルターエリア絞り込み条件特定の月のみ表示

値エリアのフィールドを右クリック → 「値フィールドの設定」で合計・件数・平均などを切り替えられます。

  1. ピボットテーブル内のセルをクリックする
  2. リボンの「デザイン」タブをクリックする
  3. 「ピボットテーブルスタイル」から任意のデザインを選択する
  4. 「小計」「総計」の表示・非表示は「デザイン」タブ内のボタンで切り替え可能
よくあるトラブルと対処法
トラブル内容原因対処法
新しく追加した行が集計に反映されない データ範囲外に行を追加した データソース範囲を拡張する(STEP2参照)。またはデータをテーブル化する。
集計値が古いデータのまま変わらない 更新操作をしていない ピボット内をクリックし Alt+F5 で更新。
「(空白)」という行が表示される データ範囲内に空白行がある データ範囲内の空白行を削除してから更新する。
ピボットの操作ができない シートに保護がかかっている 「校閲」→「シート保護の解除」でパスワードを入力して解除する。
金額の集計がおかしい(0になる等) 数値が文字列として入力されている E・F列を選択 → 「データ」→「区切り位置」→ 完了 で数値に変換する。
月次運用サイクル(推奨スケジュール)
毎日〜週次
  • 日繰り表に入出金を入力
  • G列(残高)を通帳と照合
月初 1〜5日
  • 前月の日繰り表を締める
  • 前月残高を翌月シートへ転記
月初 1〜10日
  • 資金繰り表の前月実績を入力
  • ピボットテーブルを更新・確認
月初(随時)
  • 今後の資金繰り予測を見直す
  • 資金不足の月がないか確認
四半期ごと
  • 計画と実績の乖離を分析
  • 今後の予測精度を改善
年度末
  • 翌年度の1年間予測を作成
  • 新年度ファイルを準備する
「予測→修正」サイクルで精度を上げていく
✅ 理想の運用イメージ
完璧な予測を最初から作ろうとしなくて大丈夫です。
最初は大まかな数字で1年分を埋め、毎月実績で更新し続けることで、3〜6ヶ月後には精度の高い予測表が出来上がります。
時期状態目標
スタート直後おおよその見込みで全月を埋めた状態資金ショートの月を大まかに把握する
3ヶ月後3ヶ月分が実績に更新済み入出金の季節変動・傾向が見えてくる
6ヶ月後半年分が実績ベースに修正済み予測と実績の乖離が縮まり、信頼性が高まる
1年後1年分の実績データが蓄積翌年度の計画精度が大幅に向上する
次の一手:今すぐやること(優先順位順)
サンプルファイル2つを複製し、対象企業名・年度に改名して運用ファイルを準備する
サンプルはテンプレートとして保持すること
資金繰り表に期首残高・固定費(家賃・人件費・リース)を入力して12ヶ月分の骨格を作る
まず固定費だけを先に埋めることで最低限必要なお金が見えてくる
売上・仕入の見込みを月別に入力して、残高がマイナスになる月を確認する
マイナスの月が見つかったら、融資・支払調整を早めに手配する
日繰り表に当月の取引を入力し、通帳残高と突合して整合性を確認する
日繰り表の入力データをExcelの「テーブル機能(Ctrl+T)」に変換すると、ピボットが自動拡張される
月次運用サイクルをルーティン化し、月初のチェックリストを手元に置いて運用する
最初は週次で更新し、慣れてきたら毎日更新にステップアップするのが現実的
Q&A:よくある質問
A. 不要です。 まず埋めることが最優先です。
資金繰り表は「修正し続けるツール」です。おおよその見込みで12ヶ月を埋め、毎月実績で更新することで精度が上がっていきます。
A. 早期に気づけたことが大事です。 以下の対策を検討してください。
① 大きな支出(設備投資・賞与等)の支払時期をずらせないか確認する
② 売掛金の回収を早められないか取引先に相談する
③ 金融機関に早めに相談し、融資・借入の検討を進める
※ 資金不足は早期発見・早期対処が鉄則です。ギリギリになってからの相談は選択肢が狭まります。
A. 両方の活用を推奨しますが、まずは資金繰り表(月次)から始めてください。
資金繰り表(月次):月単位の予測・実績管理。金融機関への提出にも使える。まずこちらを優先する。
日繰り表(日次):日々の入出金を細かく記録。精度の高い残高管理と科目別分析に有効。慣れてきたら追加する。
A. 以下の点を確認してから提出してください。
① 前月繰越が実際の通帳残高と一致しているか
② 合計行(年計列)の数式が正しく計算されているか
③ 借入返済予定が正確に入力されているか
④ 見込みの根拠を口頭で説明できるか(売上予測の根拠・受注状況など)
※ 金融機関への提出・融資申請時は、税理士・中小企業診断士等の専門家に事前確認を推奨します。